ニルス・ウドは、詩的でユニークなアプローチで独自の叙情的世界を創り続けているドイツの造形作家である。
1937年にドイツのバイエルン地方で生まれ、大自然に囲まれた幼少年時代を過ごした後、20歳でヨーロッパからモロッコ、中東などを旅する。60年代はパリで画家として活動、やがて70年代に入って、自然の中で自然の素材を用いた造形の一瞬の輝きを写真に撮るという独自の方法が注目され、現在に至る。80年代からは都市空間への美術家としての関わりを開始。87年に初来日し作品展を開催。現在は公園の設計やパブリックスペースでの制作など、その活動は多岐に渡る。
ニルス・ウドの手法は、自然の中に自らを置き、自然の素材(葉、小枝、実、苔、雪、氷など)を用いて造形することから始まる。造形は、風や光や水など自然界の現象が加わることで輝きを増し、やがてそれが最も輝く瞬間がある。ニルス・ウドは、それを待ってシャッターを押すのだ。
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春分の日と秋分の日、日の出と日没の一瞬にしか実現しない作品など、「自然の中に築かれた自然の素材による造形」に新たに時間軸が加わって、はじめて成立するニルス・ウドの作品。それらは常に自然とともに生まれ、育ち、やがて朽ちる運命にある。
自然の中には封印された「詩」が至る所に見いだされる、とニルス・ウドは言う。そして、自らの仕事はそれらの「詩」の封印を解き、目に見えるようにすることだ、と語る。
いま、私たちの眼前にある、正方形のフレームに切り取られた至福ともいえる瞬間の自然。この正方形の扉は、ニルス・ウドが自然の中で自然とともに導き出した世界への入口なのだ。
2005年10月
アートディレクター 宮坂泰子
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