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この目映い光の放射を解く鍵は、作品自身が何よりも語っている。
 
 
 

 とても静かで美しい作品が生まれた。目には見えないが、どこか命の豊かさが拡がっているようにも感じられる。
海沼武史エキシビションは、いよいよ最終章を迎える。 最新作で海沼武史は水面を描いて見せた。
標題の『小仏川』は、彼が住む高尾山のほとりに流れる小さな川であり、毎朝愛犬と散歩する時の決まったコースだという。四季を通して変わるこの川の表情を知り尽くし、恐らく自身の一部となっているのだろう。
8月の展覧会に向けて整理の途中であるが、今、目の前に拡げられたこの川の作品たちを眺めていくうちに、先頃来日して話題を呼んだ映画監督ヴィム・ヴェンダースのある作品を思い出す。

そのある作品とは、87年の「ベルリン・天使の詩」。
人間の女性に恋した天使が人間になる姿を描いた作品で、下界を見下ろす天使や人々の日常が淡々としたモノクロームで描かれている。
そして、映像はカラーに突然変化する。
天使が人に近づき、人間としての愛を知った瞬間。つまりそれはグレースケールではなく、鮮やかな色彩の世界へと変わっていく。

 

前回のPart.3のモノクロームシリーズでは、海沼武史の「ネガ」の部分をクローズアップした内容だった。淡々と緻密な鉛筆デッサンのように、何か修練を重ねて行くような静かな作品。しかし、今展では打って変わり、色が幾重にも折り重なる三次元的色彩の世界へと色の奥深さに迫っていく。 「命の気配を感じさせる写真を撮りたい。そのことが美しいことだから。」
海沼武史はそのように一言説明している。

生に対して能動的な感覚。その意識の変化は自然が煌めく瞬間を次々と切り取っていく。
近代絵画の技法にインスパイアされ、絵画の「光と影」のタッチを自らの写真表現に置き換えて描写しようと繰り返し実験が試され、丁寧に紡ぎだしていくように生まれてきたシリーズ『小仏川』。
グレイからカラーへ。それは、人間臭く自由に生きること。
海沼武史の仕事は今、自然の中により深く入り込んでそれと一体化していくかのようだ。

2006年4月
エモンインク ディレクター 小松整司

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coordinated by Epiphanyworks Ltd./ www.epiphanyworks.net
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協賛:キヤノン株式会社