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『The Voice of Grove』は、写真家・海沼武史、彫刻家・中村圭のコラボレーション展。
「自然、生命、循環」という二人の共通のテーマは、平面と立体作品とがひとつの空間に交差する。 限られた空間の中にそれぞれの空気の流れを交わらせて、ある不思議な森の神話を創り出そうとするエキシビションとなる。

 
 
 

 『The Voice of Grove』は、写真家・海沼武史、彫刻家・中村圭のコラボレーション展。
「自然、生命、循環」という二人の共通のテーマは、平面と立体作品とが、ひとつ空間の中にそれぞれの空気の流れを交わらせて、ある不思議な森の神話を創り出そうとするエキシビションとなった。
 
 昨年、エモン・フォトギャラリーでは、独自の視点で自然界の生と美を表現する海沼武史の世界観を4回に渡ってご紹介してきた。今展では、前回好評を博した「BUSH」シリーズの延長上に位置する「Rip Van Winkle - In the Grove」と題されたモノクローム作品がギャラリーを森林に変えることになる。
 水墨画を彷彿とさせる独特の淡い光のコントラストで、自然に対する愛情を映し出そうとした作品だ。切り取られたフレームからは、視覚的な美しさだけでなく木々のざわめきや土の匂い、風や温度などを感じさせ五官を刺激する。木々達の心象風景と鼓動を、海沼武史は繊細な描写で奏でて見せている。


 

 一方、中村圭は、2001年フランスをはじめ、国内でも精力的に作品を発表し注目を集めている若手彫刻家。今展では大胆にデフォルメされた動物、また人体を模した近未来的なオブジェを紹介する。
 まず、その特異な造形に目を奪われるだろう。顔の表情は消され一見シュールな印象を感じさせるが、和紙や木といった自然の素材は体温の温もりを宿して、プリミティブな存在感を作品に与えている。ピュアとエゴイズムが内在する「生の本能」を表現した中村の代表的な立体作品である。


 『森の声』と題されたこの展覧会は、私たちの原始的な感覚を呼び覚ましてくれるだろう。この空間に出現させた期間限定の小宇宙。二人の神秘的な息づかいを感じながら、感じるままに楽しんでいただきたい。

 

2007年2月  エモンインク ディレクター 小松整司