2020年最初の企画は、写真作家・小林秀雄の新作展でスタート致します。

小林は初期の『中断された場所』(1998)から本作に至るまで、独自の仕掛けと光学的装置を使って独特な世界観を探求し続ける美術家です。

新作『街灯』は関東郊外の様々な場所で撮影され、見慣れた街灯のある風景を「現実が異界へ変貌する光景」として提示します。衣類等を無造作に配置した構図、夜明けの光と巡り合わせるような長時間露光の技法。小林の作品はシュルレアリズムの概念を深化させるように、夢の中を覘いているような独特の非現実世界、不可思議さを観る者にもたらします。

 

「不自然な所に街灯が立っている時がある」 「草むらの中でまるで自力で辿り着いたかのように、ひっそりと立っている。」と言います。小林にとって街灯はまるで意思を持つ生き物のようであり、孤独なモニュメント。本シリーズ作には自身以外の人物像も被写体として投影し、ランドスケープとの接点を探る新たな実験となりました。

また三部構成として発表する作品『花と電柱』は、電柱にたむけられた花を主題にしています。様々な街灯のそばに咲かせた花々。そして電柱の灯がそっと光を当てる光景。本作品は、祈りという本来不可侵な領域に踏み込んだ小林の横顔を覗かせる作品となっています。

 

ありふれた風景に生と死、さらに写真の哲学を封じこめる小林秀雄。「計画と偶然」とはある写真家の言葉ですが、このような方法論で写真表現の核心を追求するアーティストの系譜に小林秀雄を置く事は難しくはありません。無限の可能性を秘める写真芸術は、今後もよりダイナミックに変化するでしょう。時代の幕開けに相応しい小林秀雄の最新作をどうぞご高覧ください。

花と電柱 / 2019

作家ステートメント

 

『街灯』:不自然な所に街灯が立っている時がある。何かを照らすために設置されたと思われるが、多くは草むらの中でまるで自力で辿り着いたかのように、ひっそりと立っている。 日常を離れて孤立する物や場所は、現実から遠ざかろうと振る舞ってみせる。さながら現実と非現実、この世とあの世が、振り子が揺れるように行き来しながら、彷徨うのである。

 

『街灯135』:35ミリカメラにフィルムを入れて、街灯を撮り歩く。現像されたフィルムは、ネガシートに収めるべく必ず6枚目ずつカットされる。 この長いフォーマットを基準にした時、1枚の写真では捉えられなかった街灯と街灯、またはその間の黒い闇には、自分が移動した距離、撮影した行為による時間も含まれており、時間の流れを意識するようになる。

 

『花と電柱』 電柱は、細い太い新しい古いと思いのほかバリエーションに富んでいて、普段日常で必ずといっていいほど目にしているにもかかわらず、いかに無関心なのかを思い知らされる。 1本の電柱を見ていると、ずっと同じ場所に立っているので、過去にさかのぼれば花が供えられてた時があったのではないかと想像してしまう。そのため花と電柱の結び付きは、どうしても不安な気持ちにさせ、花がまるで誰かが持っているかのように浮いていたならば、一気に非現実へと加速する。

小林秀雄プロフィール

2018『中断された場所』『trace』 エモン・フォトギャラリー    

2014 『SHIELD』 エモン・フォトギャラリー    

2003 『trace』 ツァイト・フォトサロン

2000 『glass box』 ツァイト・フォトサロン 第31回アルル国際写真フェステバル

1999 クリテリオム41 水戸芸術館現代美術ギャラリー・茨城 Center for Photography at Woodstock

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